最終更新日:2025/10/21
記事公開日:2025/10/21
入居者のライフスタイルや住まいへのニーズが年々多様化する中、賃貸経営や管理の在り方も見直されつつあります。
こうした変化を受け、最新のサービスや事例が一堂に集まるイベントとして注目を集めたのが「賃貸住宅フェア2025」です。
今年の会場では「AIをはじめとしたテクノロジーの進化」や「入居者サポートの新しい形」など、現場を支えるアイデアが数多く紹介されました。
そこで今回は、フェアの概要とともに実際に会場で注目を集めたトピックや最新トレンドについてお届けします。
実務に役立つヒントが詰まっていますので、現場での提案力や対応力を高めたい方はぜひ参考にしてください!

目次

「賃貸住宅フェア」とは、賃貸経営・管理・仲介に関わる事業者向けの総合展示イベントです。全国の賃貸住宅関連企業や不動産テック企業が多数出展するなど、賃貸住宅業界では国内最大規模のイベントとして知られています。
今年も東京会場には管理会社や仲介会社、オーナーをはじめとする業界関係者が数多く来場し、新しいサービスや実務のヒントを得る場として大きな盛り上がりを見せました。
そんな「賃貸住宅フェア2025」の概要や開催目的について見ていきましょう。
2025年の賃貸住宅フェアは、東京・大阪の2会場での開催となっています。
東京会場では、約200社の企業が出展。来場者は2日間で約13,800名(※)にのぼり、終日にぎわいを見せました。(※リフォーム産業フェアとの合同開催を含む)
なお、11月に開催される大阪会場では、地域特有の賃貸ニーズや管理課題に焦点を当てたセミナーも予定されており、東京とは異なる視点での情報共有の場となりそうです。
賃貸住宅フェアは、賃貸経営・管理・仲介に携わる事業者が、「最新の業界トレンドを学び、課題解決のヒントを得ること」を目的とした展示会です。
業界の動きを体感しながら、今後の経営や実務に活かせる情報を得られる場として、毎年多くの関係者が足を運んでいます。
今年の東京会場では、最新技術の紹介やサービス体験ブースなど、現場の課題解決につながる多彩な展示が並びました。
また、2日間で80本以上のセミナーが行われ、現場での成功事例から市場の展望まで、実務に役立つテーマが幅広く発信されました。
さらに、賃貸住宅フェアは、オーナー同士の意見交換や企業担当者との出会いなど、「人と人をつなぐ交流の場」としても評価を集めています。
いまや「最新情報を得る場」にとどまらず、参加者がそれぞれの課題を持ち寄り、解決のヒントを探す「業界のプラットフォーム」として機能しているといえるでしょう。

「賃貸住宅フェア2025 東京」では、管理業務の質を高める新しい仕組みが数多く取り上げられました。
ここでは、特に来場者の関心を集めた3つのトピックを紹介します。
少子高齢化の進行により、高齢者単身世帯の入居対応は賃貸管理における重要テーマのひとつとなっています。
フェアでは、IoTセンサーや通信機能を備えた見守り機器、異常検知システムなど、入居者の“安心”を支える 「管理型サポート」 の提案が目立ちました。
たとえば、冷蔵庫の開閉を検知するセンサーや、一定時間動きがない場合に管理会社へ通知が届く仕組みなど、日常生活の中で自然に見守りを実現するサービスが登場。
こうした仕組みは、入居者の安心だけでなく、オーナーや家族にとってもリスク軽減につながる点が評価されています。
入居後のフォローを前提とした管理体制は、今後の賃貸経営において欠かせない要素となりつつあります。
外国人労働者や留学生の増加を背景に、外国籍入居者を積極的に受け入れる管理会社が増えています。
フェアでは、「外国人でも借りられる部屋探し」をコンセプトとした賃貸サイトや、入居中のトラブルを多言語でサポートするシステムなどが紹介されました。
特に注目を集めたのは、多言語対応・入居後フォローの仕組みづくりです。
契約書や説明資料を英語・中国語・ベトナム語で提供するほか、翻訳アプリやAIチャットを活用して、生活ルールや設備トラブルの案内を自動化する動きも広がっています。
日本語が苦手な入居者でも安心して生活できる環境を整えることは、結果的に退去防止やクレーム削減にもつながり、管理の質を向上させる取り組みとして定着しつつあります。
近年、管理会社が抱える課題のひとつが、入居者トラブルへの対応負担です。
今年の東京会場では、「近隣トラブル解決支援サービス」や「カスハラ対応代行サービス」など、トラブル対応を外部に委託できる新しい仕組みが注目を集めました。
特に話題となったのが、元警察官などの専門スタッフが対応する「mamorocca」です。騒音・迷惑行為・嫌がらせ等のトラブルを定額で相談できるサービスで、対応の難しい問題を第三者が冷静に処理する仕組みとして関心を集めました。
入居者対応を専門家に委ねることで、管理会社はリスクを軽減しながら、コア業務であるオーナー対応や物件価値向上に集中できる点もポイントです。
今後は、こうした外部代行サービスを「管理の一部」として取り入れる動きが広がっていくでしょう。

東京会場で見られたテーマからは、今後の賃貸管理の方向性も見えてきました。
ここでは注目された動きをもとに、管理業務に関わる方が意識しておきたい最新トレンドを3つ押さえておきましょう!
これまで、仲介・管理会社の関心は「入居から契約完了」までに偏りがちでした。
しかし、少子高齢化の進行や単身世帯の増加を背景に、入居後の生活を支える仕組みづくりが、管理業務の新たなテーマとして定着しつつあります。
こうした流れを後押ししているのが、2025年10月に施行された「住宅セーフティネット法の改正」です。
新たに創設された「居住サポート住宅」制度では、ICTを活用した見守りや安否確認を備えた住宅を対象に、登録や支援の仕組みが整えられました。
こうした仕組みが整ったことで、高齢者などが安心して入居できる環境が広がり、管理会社が入居後のサポートを行う機会も増えています。
つまり、入居後のフォローはいまや「プラスアルファ」ではなく、「選ばれる管理会社の新しい基準」になりつつあるといえるでしょう。
単身高齢者の受け入れに不安を感じているオーナーに対しては、住宅セーフティネット制度を活用したサポート体制を提案するのも効果的です。
支援団体や福祉サービスとの連携によって、入居中のトラブルリスクを軽減できる点を説明すれば、オーナーの理解も得やすくなりますよ。
また、入居後のフォロー体制を強化するには、「管理会社自身が導入できる仕組みを見直すこと」も大切です。
たとえば、賃貸住宅フェア2025東京に出展した「独居ケアアシスタント」は、冷蔵庫の開閉データを活用した見守りサービスです。一定時間冷蔵庫の開け閉めがなく「異常」と判断された場合に管理会社に通知が届く仕組みとなっているため、現場での負担を抑えながら入居者の安全をサポートできます。
こうした仕組みを整えることで、管理の質を高めつつ、「安心できる管理会社」としての信頼も得やすくなりますよ。
AIの活用は、賃貸管理の現場でも一気に身近なものになってきました。最近では、広告文の作成や顧客情報の整理など、これまで時間がとられていた事務作業の効率化が一気に進んでいます。
さらに、お客様からの問い合わせに自動で回答するチャットボットや将来の空室リスクを予測するシステムなど、賃貸管理業務により特化したツールやサービスも増えてきました。
こうした仕組みを取り入れることで、営業担当者は「人にしかできない、きめ細やかなサポート」に集中できるようになります。
AI導入というとハードルが高く感じるかもしれませんが、まずは「作業を手助けしてもらうツール」として段階的に取り入れるのがおすすめです。
チャットボットや管理システムの導入はコストも大きいため、負担を感じる場合は文章作成やデータ整理といった身近な作業から始めてみると良いでしょう。
たとえば、ChatGPTやGeminiをはじめとする生成AIサービスには無料プランも多いため、コストをかけずに業務効率化を体感できますよ。
まずは「AIに任せてみる」ことから一歩踏み出し、自社の業務に合った活用方法を見つけていきましょう。
「データをどう活かすか」という課題は、仲介管理の現場でも年々大きなテーマになってきています。
この流れを後押しするのが、AIやクラウドの進化です。これまで感覚に頼っていた判断を「数字で見える化」することで、根拠に沿った提案や改善策を立てられるようになりました。
たとえば、入居履歴や退去理由を分析すれば、「このエリアでは単身者の入れ替わりが早い」「ファミリー向け物件は2年更新が多い」といった傾向がつかめます。
傾向をもとに、募集条件の見直しや設備更新の提案を行うことで、早め早めの空室対策が可能になります。
このように、データを活かした管理はオーナーとの信頼を深めるうえで非常に大きな武器となるでしょう。
データ分析というと難しそうに感じますが、まずは「日々の情報を集めて整理する」のが第一歩です。
たとえば、退去理由をエクセルで整理したり、反響数や成約までの日数を定期的にチェックしたりするだけでも、顧客のニーズや傾向がつかめてきます。ある程度のデータがたまった段階で分析ツールやAIサービスを導入すれば、より精度の高い判断も可能になりますよ。
オーナーに提案する際は、口頭での説明だけでなく、グラフや一覧表などの資料を一緒に提示すると効果的です。データを視覚的に伝えることで、より説得力のある提案へとつなげましょう。
「賃貸住宅フェア2025」では、賃貸管理の質を高めるための新しい動きが数多く見られました。
中でも入居後のサポートは、住宅セーフティネット法の改正で支援体制が強化されたこともあり、今後ますます現場で意識しておきたい重要なテーマです。
また、AIツールやクラウドサービスの導入はコストこそかかりますが、予算に応じて段階的に取り入れていくことで、無理なく業務の質を高めることができます。
本記事の内容をヒントに、日々の業務に少しずつ新しい取り組みを取り入れて、営業力と働きやすさの両方を高めていってください!
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