最終更新日:2025/10/10
記事公開日:2025/08/04
経済産業省は、住宅省エネ2025キャンペーンの一環として、「賃貸集合給湯省エネ2025事業」を開始しました。この事業は高効率給湯器の普及を後押しするもので、賃貸集合住宅でも活用しやすい制度となっています。
本記事では「賃貸集合給湯省エネ2025事業」の内容から実務での活用方法まで、営業現場で役立つ情報をわかりやすく解説します。オーナーへのトーク例も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください!

目次
「賃貸集合給湯省エネ2025事業」が創設された背景には、「国のエネルギー政策」と「防災対策」の両面があります。オーナーに対して説得力のある提案ができるよう、背景についてしっかりと理解しておきましょう!
経済産業省によると、家庭内で使用されるエネルギーのうち、給湯が約3割を占めています。住宅設備の中でもとくにエネルギー消費量が大きいため、給湯器の省エネ化は光熱費削減につながる有効な対策です。
さらに、貯湯機能付きの省エネ型給湯器は、災害時の生活インフラとしても注目されています。地震や停電など万一の際にも一定量の湯水を確保できることから、防災対策の一環として導入を検討する動きも広がっています。
政府は、2030年度に向けて年間6,200万kl(原油換算)のエネルギー消費削減を目指しています。目標達成のためには、2013年度比で 約40%のエネルギー消費効率改善が必要とされており、省エネ設備の普及が欠かせない状況です。
こうした省エネ目標の達成に向けた取り組みの一環として、政府はエネルギー消費の大きい給湯分野に着目し、高効率給湯器の導入を後押しする補助制度を推進しています。
2025年度の給湯器補助金制度は、対象となる住宅によって以下の2つの事業に分かれています。
・給湯省エネ2025事業
・賃貸集合給湯省エネ2025事業
給湯省エネ2025事業は、戸建住宅や分譲マンションなどの持ち家を対象とした補助制度で、住宅所有者自身が申請して活用できる仕組みになっています。
一方、賃貸集合給湯省エネ2025事業は、既存の賃貸アパートやマンションの給湯設備更新を後押しするために設けられた制度です。賃貸オーナーにとっては、申請手続きが簡略化されており、導入しやすい制度となっています。
賃貸仲介営業の現場では、後者の「賃貸集合給湯省エネ2025事業」が直接的に関わってくるため、詳しい内容や申請の流れについて押さえておきましょう。
本事業では、高効率タイプのガス給湯器「エコジョーズ」や石油給湯器「エコフィール」が補助対象となっています。いずれも従来型に比べ熱効率が高く、入居者の光熱費負担を抑える役割も期待される機種です。
| 給湯器のタイプ | 補助金額 |
| エコジョーズ(追い焚き機能なし) | 5万円/台 |
| エコジョーズ(追い焚き機能あり) | 7万円/台 |
| エコフィール(追い焚き機能なし) | 5万円/台 |
| エコフィール(追い焚き機能あり) | 7万円/台 |
さらに、以下のようなドレン排水工事を同時に実施する場合は、補助金が上乗せされます。
| 追い焚き機能 | 加算対象となる工事 | 加算額 |
| なし | 共用廊下を横断するドレン排水ガイド敷設工事 | 3万円/台 |
| あり | 浴室へのドレン排水工事(三方弁や三本管などを使用) |
条件に該当するかどうかは、建物の構造や配管の状況によって判断されます。該当する場合は1台あたり3万円が加算されるため、給湯器設置と併せて「最大10万円」の補助金が受けられます。
「賃貸集合給湯省エネ2025事業」の補助対象となるのは、既存物件での給湯器交換のみです。以下に該当する建物は対象外となるため、注意しましょう。
・新築住宅
・戸建住宅
・交付申請時点で住宅に区分されない建物
・特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの施設
・民泊施設
・専ら旅館業法の許可により運営する施設(ウィークリーマンションを含む)
なお、補助上限台数は1台までとなっており、事務局に登録された製品の中から選ぶ必要があります。対象となる製品は、特設サイトの「補助対象製品の検索」ページで確認できます。
「補助金申請って複雑だし面倒…」と感じるオーナーもいますが、実際には施工業者が代行してくれるため、オーナー自身の手間はそれほど大きくありません。
営業担当者としてオーナーの不安を解消できるよう、申請の大まかな流れを把握しておきましょう。
補助金の申請は、オーナー自身ではなく施工業者(リフォーム会社)が行います。オーナーは、「賃貸集合給湯省エネ事業者の検索」ページから施工業者を選ばなければなりません。
施工業者が決まったら工事請負契約を結び、その際「共同事業実施規約(兼自認書)」も作成します。「共同事業実施規約」は補助金の交付を受けるために必要な書類で、オーナーと施工業者の署名・押印が必要です。
「共同事業実施規約」は公式サイトからダウンロードできますが、通常は施工業者が用意してくれるため、オーナーが個別に手配する必要はありません。
補助対象となるのは、2024年11月22日以降に着手した工事です。それ以前に始まった工事は補助の対象外となるため、日程に注意しましょう。
着工後、施工業者は補助金申請に必要な書類や工事写真を準備します。オーナー側で準備が必要なのは、「登記事項証明書」などごく一部に限られます。
工事が完了したら、施工業者が事務局ポータルを通じて交付申請を行い、必要書類を提出します。申請受付期間は、以下のとおりです。
| 交付申請の予約受付期間 | 2025年3月31日~予算上限に達するまで遅くとも2025年11月14日※ |
| 交付申請の受付期間 | 2025年3月31日~予算上限に達するまで遅くとも2025年12月31日※ |
※交付申請受付は、予算が上限に達した時点で終了となります。実際、これまでの省エネ関連支援制度では年度後半に申し込みが集中し、前倒しで締め切られるケースもありました。
出典:賃貸集合給湯省エネ2025事業「予算に対する補助金申請額の割合」
なお、進捗状況は上記の事務局公式サイトで毎日更新されています。オーナーに制度を案内する際は、あらかじめ予算の消化状況を確認しておくことをおすすめします。
申請内容に問題がなければ交付決定通知が発行され、オーナーに補助金が還元されます。還元方法は施工業者によって異なり、以下のいずれかの方式となります。
・工事費から補助金分を差し引かれる
・工事完了後にオーナーへ現金で支払われる
工事費から補助金分を差し引いてもらえる場合は、初期負担が大幅に軽減されます。一方で、工事完了後に現金で支払われる場合、オーナーは工事費を満額立て替えなければなりません。
このように、補助金の還元方法の違いがオーナーの資金計画に大きく関わるという点を理解しておきましょう。
2025年度の補助制度は、従来の制度と比べて賃貸オーナーが活用しやすい仕組みに整備されており、現場での営業トークにも取り入れやすくなっています。
ここでは営業現場でよくあるシチュエーションごとに、オーナー対応時のポイントとトーク例を見ていきましょう。
給湯器に不具合があった場合は、状態を見ながら修理か交換かを検討することになります。とくに設置から10年以上経っている機器は、修理したとしても再発のリスクが高く、結果的に交換したほうがコスト面で割安になるケースがあります。
補助制度について案内することで、「まだ使えそうだけど少し不安」といった判断に迷う場面でも、前向きな提案につなげやすくなりますよ。
「修理も可能ではありますが、設置から10年以上が経っていますので、そろそろ交換も視野に入れていただく時期かと思います。補助制度を活用できるタイミングでもありますので、更新のご負担も軽くなりますよ。この機会にご検討されてみてはいかがでしょうか?」
築年数の経った物件では、「修理すべきか交換すべきか」と判断に迷うオーナーも少なくありません。「補助制度を使えば自己負担が減る」と明確に伝え、オーナーの費用面での不安を和らげましょう。
築年数が経過した物件では、家賃設定や立地条件だけでなく、設備の新しさも重要な要素になります。とくに、給湯器やエアコンといった生活に直結する設備は入居検討者からチェックされるケースが多く、周辺物件との差別化にもつながります。
「給湯器の更新は、空室対策において有効である」という点をはっきり伝えつつ、補助制度によるコスト面のメリットもアピールしましょう。
「最近は、内見時に設備の新しさを気にされる入居者が増えています。給湯器は入居後の使い勝手や安心感に直結する設備ですので、新しい機種になっていると好印象になります。今なら補助金を使えるので、コストを抑えながら空室対策できるチャンスですよ。」
築年数が経った物件では、家賃交渉よりも「設備が新しいこと」が決め手になるケースも少なくありません。「印象がガラッと変わる」といった表現によって、投資に見合う効果をさりげなく伝えるのがポイントです。
退去後の原状回復やリフォームのタイミングは、設備を見直す絶好の機会です。中でも、水回りは入居者の満足度やトラブル防止につながるため、計画的な更新が望まれます。
「原状回復のついでであれば検討しやすい」というオーナーは、少なくありません。工事を一度で済ませられるメリットに加え、補助制度についても案内することで、説得力のある提案が可能です。
「原状回復とあわせて給湯器の入れ替えもご一緒に検討いただくと、今後の管理がスムーズになりますよ。工事をまとめて実施することで、別々に行うよりも空室期間を短縮できますし、補助金の活用で費用面の負担も軽くなります。」
原状回復の流れに沿って、「せっかく工事するなら一緒に交換しておこうかな」とオーナーが前向きになれるような提案を心がけましょう。
さらに、「管理がスムーズになる」というメリットを添えることで、オーナーの決断を自然に後押しできます。
「賃貸集合給湯省エネ2025事業」は、賃貸住宅でも使いやすい形に整備された、実務に取り入れやすい補助制度です。
最大10万円の補助金支給によってオーナーのコスト面でのハードルが下がるため、これまで切り出しにくかった設備投資の提案もしやすくなりますよ。ただし、予算が上限に達すると早期に受付が締め切られることもあるため、申し込み状況は定期的にチェックしておきましょう。
本記事で紹介したトーク例を参考に、オーナーが設備更新を前向きに検討できるような提案を行っていってください!
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