最終更新日:2025/11/14
記事公開日:2025/11/17
気づいたら一日中、お客様と物件資料、そして社内の電話に追われている」「忙しすぎて、まともにご飯を食べる時間もない」…賃貸営業の現場で働くみなさんは、このような悩みを抱えていませんか?
特に、年明けから春にかけての繁忙期は、ノルマとプレッシャーにより、肉体的にも精神的にも疲労が溜まりやすい時期です。強いプロ意識や責任感が、知らず知らずのうちに睡眠時間を削り、心身に大きな負担をかけているかもしれません。
そこで今回は、賃貸営業の繁忙期特有の「こころと身体の疲れ」に焦点を当て、それらの危険なサインから、業務の合間にすぐできる即効性のあるアクション、乱れがちな「食事」「睡眠」を整える具体的な健康ルーティンまでを詳しくご紹介します。
自分の疲れ具合を正しく把握し、過酷な繁忙期を乗り越えるためのコツを手に入れ、「がんばろう!」という精神論ではなく、科学的な視点を取り入れた疲労回復の方法を実践し、繁忙期を乗り切るためのパフォーマンスを支える、強い「土台」を今から整えましょう。

目次
賃貸営業の繁忙期、特に1月から3月は「戦場」と化します。
一日に来店のご予約が2件以上入っていることは当たり前で、多いときは3件以上の内見をこなします。内見が終わると溜まっている事務処理に追われます。契約書類の作成やチェック、お客様へのご連絡、ひと段落着いたと思ってもまだまだ仕事は終わりません。次から次にやってくる反響への対応と追客をこなしているとあっという間に夜になります。
夜は書類の作成やチェック、お客様への物件資料送信などを行います。郵便の集荷に間に合わず、レターパックを帰り道に投函して、バタバタの一日が終わる。そんな日々が3ヶ月くらい続きます。
著者も営業職として何度も賃貸仲介の繁忙期を経験しましたが、忙しくて食事をとれない、なんていうことは日常茶飯事です。もちろん、残業時間もおのずと増えますし、休日出勤もせざるを得なくなることも珍しくありません。
このようなことから、繁忙期は書き入れ時である反面、無理をすることによって心身に支障をきたしやすくなるため、注意が必要なのです。

忙しい繁忙期を健康に乗り切るためには、現在の健康状態を知ることが重要です。最初に心と体の疲労蓄積度をチェックし、現在の健康状態を正しく把握することから始めましょう。
厚生労働省が、簡単に疲労蓄積度を確認できるチェックリストを公開しています。このチェックリストでは、主に二つの側面からあなたの疲労度を調べることが可能です。
出典:厚生労働省 「労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト(2023年改正版)」
■「自覚症状」があるかどうか
最近1か月間に感じた、眠れない、集中できない、イライラするといった心と体の状態
■「勤務の状況」が適切か
労働時間や睡眠時間、仕事の負担の大きさといった、疲労の原因となっている職場環境
主な質問内容は以下のようなものです。
・1か月の労働時間(残業含む)が多い/非常に多い
・不規則な勤務、予定の変更が多い
・仕事についての精神的負担が大きい/非常に大きい
・勤務時間外でも仕事のことが気にかかる
・勤務日の睡眠時間が足りない/終業後の休息時間が足りない
この二つの評価を組み合わせ、0点から7点までの点数であなたの疲労蓄積度を判定し、「低い」から「非常に高い」の4段階で知ることができます。
もし点数が高く出た場合、リストは「勤務の状況」を見直して、負担を減らす対策を取るよう勧めています。もちろん、勤務の状況は自分一人で解決できる問題ではありません。そのため、社員の個人的な努力で解決できない問題については、上司や産業医などの専門家に相談し、職場環境の改善につなげるように会社全体で取り組むことが重要です。
忙しすぎて整骨院に行けない、ゆっくり湯船につかれない。そんな毎日の中でも実践できる、即効性の高い疲労回復アクションをいくつか紹介します。
1. 深呼吸をする
デスクワークが続くと、腰や肩にはどうしても負担がかかるもの。契約書作成などで机に長く向かい合っていると無意識に猫背になり、呼吸が浅くなります。呼吸が浅い状態が続くと、脳への酸素供給が減り、ストレスを高める交感神経が刺激され続けてしまいます。心身の緊張を解き、疲労を断ち切るためにも、意識的に深い呼吸をする必要があります。
やり方はカンタン。胸を開いて深く呼吸をするだけです。さまざまな秒数のものが紹介されていますので、自分にもっとも合う呼吸法を探してみるのもよいでしょう。
深い呼吸は、リラックスを促す副交感神経を優位にし、高ぶった心を落ち着かせます。脳に効率良く酸素が送られるため、短時間で集中力が回復し、疲労による頭のモヤモヤがすっきりします。
2. ストレッチをする
賃貸営業の業務は、デスクワークと運転、内見時の移動が入り混じり、特に背中や肩周りが固まりやすい姿勢が続きます。血流の滞りは頭痛や肩こりの大きな原因であり、疲労物質の蓄積に直結するため、意識的に血行を促進する必要があります。
勤務中のストレッチでは、座ったままでもできる肩甲骨ストレッチが有効です。椅子に深く座ったまま、両肘を90度に曲げ、背中の後ろで肩甲骨を力強く寄せて胸を開きます。この姿勢を10秒キープした後、息を吐きながら全身の力を抜いて脱力します。
デスクワークで丸くなりがちな姿勢をリセットし、背中や首周りの血流を改善します。これにより、頭痛や頑固な肩こりを軽減する効果が期待でき、身体のだるさを和らげることができます。少し体を動かすだけでも、こころと体に良い影響があるとされています。
3. 目の疲れを癒す
パソコン画面や物件資料、運転中の遠景と近景の切り替えなど、賃貸営業の業務は目を酷使します。眼精疲労は、単なる目の疲れではなく、自律神経を乱し、全身疲労や集中力低下の大きな原因となるため、業務の合間にこまめなケアが必要です。
数分間、目のケアをしてみましょう。暖かい缶コーヒーをまぶたに当てると気持ちいい感覚、まさにあれです。目を閉じたまま、目の周りを軽くマッサージしたり、上下左右にゆっくり動かしたりするだけでも効果があります。
目の疲れからくる頭痛や集中力の途切れを緩和し、目をリフレッシュさせることで、頭もすっきりしますし、ミスや見間違いを減らすことにも繋がりそうです。
疲れは体だけの問題ではありません。さまざまなストレスから集中力を欠いてしまったり、心が病んでしまったりすることも珍しくありません。ここでは、心をリラックスさせる、心の疲労回復アクションを紹介します。
1. 一旦その場を離れる
イライラしたり、嫌なことがあったりしたときは、一旦外の空気を吸って気分転換することをおすすめします。どうしても事務所の中にいると、仕事のことを考えざるを得なくなり、悪循環に陥る可能性が高いからです。
少し外に出て、深呼吸をしながら空を見上げてみましょう。賃貸営業スタッフであれば、車での移動中に少し広い公園や静かな場所に立ち寄り、5分間だけスマホをロッカーに置いてくるつもりで、完全に仕事から意識を切り離すことで、リフレッシュに繋がるかもしれません。
2. 自分の好きなものに触れる
気分転換で外出できそうもない、そんなときは自分の好きなものに触れてみてください。好きなものは何でも良くて、匂いでも、音楽でも、名言でも、自分の心が回復するものややる気が出るものに触れて、五感を意図的にリフレッシュさせましょう。
例えば、名刺入れにリラックスできる香りを忍ばせておくことは、席を立たずにできる即効性の高い方法です。また、誰にも聞こえないようにお気に入りの曲を1〜2分だけ集中して聴く、スマホの待ち受け画面を癒やされる写真や名言にして、休憩のたびに意識的に眺めるのも効果的です。
このように、業務とは全く関係のない「好きなもの」に短時間でも意識を向けることで、脳を疲弊させるストレスのループから抜け出し、心を効果的にリセットする良い方法です。自分の機嫌は自分でとることを心がけましょう。
こころのメンテナンスにはさまざまな方法があります。自分に合ったものが必ずありますので、さまざまな方法を試してみてはいかがでしょうか。
出典:厚生労働省「こころとの上手なつきあい方 ~こころのメンテをしよう!」
目の前の疲れをリセットする即効性アクションに加え、過酷な繁忙期を乗り切るための土台作りとして、回復力を高める習慣を身に着けておくことも重要です。
1. 睡眠を重視する
疲労回復の最重要項目は睡眠です。質の高い睡眠を確保するため、入浴とデジタル遮断を意識してください。具体的には、就寝の1〜2時間前にぬるめのお湯に浸かる習慣をつけることで、体温がスムーズに下がり、質の高い深い睡眠が得られやすくなります。
また、休日の「寝だめ」は効果がないどころか、体への悪影響も指摘されています。社会的時差とも呼ばれ、血管系疾患やうつ病の発症リスクもあるため、普段から適切な睡眠時間を確保するように努めましょう。
2. 休日の質を上げる
休みの日は、仕事用スマホの電源を切るなど、デジタルデトックスを徹底し、仕事の情報から意識を完全に分離させる時間を作ることをおすすめします。さらに休日の午前中にウォーキングなどの軽い有酸素運動を取り入れることで、血流が促進され、身体的な疲労回復と精神的なリフレッシュ効果を得られます。
3. 感情のコントロールと自己肯定力の強化
仕事で失敗したり、お客様の対応で落ち込んだりしたときは、自分を責める前に、「もし親友が同じミスをしたら、何て声をかけるか?」と自分に問いかけてください。この一呼吸で、過度な自己否定を防ぎ、心の回復力を高めることができます。
また、ストレスを溜め込まないためにも、プレッシャーは一人で抱え込まないでください。信頼できる上司や先輩、あるいは社外の専門家でも構いませんので、定期的に話を聞いてもらう機会を作り、心の負担を軽くすることが非常に大切です。

ここでは、特に乱れやすい「食事」「睡眠」「可処分時間」について、繁忙期の間だけでも取り入れてほしい具体的なルーティンを提案します。
大前提として、かならず一日三回食事をとるようにしてください。一番ダメなことは、食べないことです。空腹はイライラしやすくなりますし、集中力を欠くことでミスを誘発します。そうならないためにも、まずは三食口にすることから始めましょう。
忙しい午前中の高い集中力を保つため、朝食では「たんぱく質」と「ブドウ糖」を必ず意識して摂取しましょう。脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖(ご飯やバナナ)に、プロテインやヨーグルトなどのたんぱく質を組み合わせることで、脳と身体のエネルギーを素早くチャージできます。
昼食は、接客や移動でゆっくりと時間を取れない日もあるかと思います。そのような場合は、午後の眠気を避けるためにも、高たんぱく・低脂質の食品や完全栄養食の活用も視野に入れましょう。例えばサラダチキンとおにぎり、または栄養バランスの取れたドリンクタイプでも、短時間で効率良く必要な栄養を補給できます。
仕事で帰宅が遅くなり、夕食の時間が遅くなる場合は特に注意が必要です。夕食は消化の良い「軽い食事」を意識し、理想としては就寝の3時間前までには済ませるようにしましょう。重い肉類や揚げ物は避け、雑炊や温かいスープ、豆腐など胃腸に負担をかけないものを選ぶことで、睡眠中に消化器官が休まり、睡眠の質の低下を防ぐことができます。
心と体の疲労回復にとって、睡眠の重要性は言うまでもありません。
若い頃は多少寝不足でも乗り切れるかもしれませんが、年齢を重ねるにつれて睡眠不足は体に響き、動きにくくなります。さらに加齢とともに長い時間眠り続けること自体が難しくなるため、量よりも「睡眠の質」が圧倒的に重要になります。
ここでは、その質の高い睡眠と、快適な起床のためのポイントを解説します。
質の高い睡眠を得るため、就寝の1時間前から「ブルーライト」を遮断する習慣を徹底しましょう。スマートフォンやタブレットの光は、睡眠を促すホルモンであるメラトニンの分泌を妨げ、寝つきを悪くしてしまいます。寝室には機器を持ち込まないか、どうしても見る場合は画面の輝度を下げ、脳を休ませる準備を意識的に行ってください。
朝、目が覚めたらすぐに「太陽光」を浴びることをルーティンにしましょう。起床後すぐにカーテンを開け、1〜5分ほど太陽の光を浴びるだけで、体内時計がリセットされます。これにより、その日の活動性が高まり、夜には再びスムーズに眠りにつける準備が整うため、疲労回復の土台が作られます。
また、休みの日も仕事の日も、同じ時間に起きるように心がけると良いとされています。
ストレスや疲労から脳を解放するには、仕事や自己啓発とは一切関係のない時間を意識的に設けることが非常に重要です。
このリセット方法には二つの考え方があります。一つは、休憩時間や休日に「〇〇しなければならない」という義務感を捨て、あえてぼーっとする、音楽を聴くだけ、散歩するなど、生産性のない「無駄な時間」を作ることです。この「何もしない時間」が、結果的に脳の疲労を回復させ、集中力と創造性を高めてくれます。
もう一つは、趣味やスポーツなど「好きなことに没頭する時間」を持つことです。集中力の矛先を仕事とは別の好きな活動に向けることで、脳の疲労回復に繋がります。
どちらの方法を取るにしても、重要なことは、仕事から物理的・精神的に距離を置き、仕事脳を休ませることだと言えるでしょう。
賃貸営業の繁忙期は、プロとしての力が試される時期です。しかし、お客様に最高のサービスを提供し続けるためには、何よりもまず、自分自身の心と体が健康でなければなりません。
この記事でご紹介した疲労回復のコツや健康ルーティンは、どれも「少しの意識と行動」から実践できるものばかりです。
業務中に疲れのサインを見逃さず、即効性のあるアクションでその都度リセットすること。食事や睡眠といった土台となる生活習慣を整え、中長期的に体を支えること…これらの知識を実践することが、過酷なプレッシャーから自分自身を守り、最高のパフォーマンスを発揮し続けるための土台となります。ご自身の身体を労り、心身ともに万全の状態で、最高の成果を目指して繁忙期を力強く乗り切ってください。
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