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公示地価とは?基準地価・実勢価格・路線価との違いや活用場面などについて解説

記事公開日:2022/10/13

最終更新日:2024/01/11

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不動産の売買取引において、土地価格や土地評価は特に重要なポイントになり、事前の確認が欠かせません。土地の価値を意味する地価にはいくつかの種類があり、それぞれ特徴が異なります。

今回は、地価のひとつである公示地価について詳しく解説します。公示地価の知識をつけることで、土地取引における目安価格が把握でき、顧客に有益な情報を伝えることが可能になるので、興味をお持ちの方はぜひチェックしてみてください。

公示地価とは

公示地価とは、国土交通省が発表している土地の価値の目安額のことです。毎年1月1日に全国にある標準値の地価が調査され、3月に発表されます。標準値の地価を公表することを「地価公示」、公示された地価を「公示地価」または「公示価格」と呼びます。

令和4年の地価公示では、26,000箇所の標準値で調査が行われました。公示地価を発表することで、土地の売買取引に対する価格相場だけでなく、土地の相続評価や固定資産税の相場を知ることも可能です。

※参考 国土交通省 「地価公示」

また、公示地価は「地価公示法」に従って発表されています。この地価公示法には、おおよそ以下のようなことが定められています。

  • 土地取引を行う際は標準値の価格を指標にする
  • 2人以上の不動産鑑定士が公示地価を調査する
  • 標準値は土地鑑定委員会が選定する

なお、土地の価値を表す言葉として、以下のようなものもあります。

  • 基準地価
  • 実勢価格
  • 路線価

公示地価と上記3つでは、具体的にどのような点が違うのでしょうか。

基準地価・実勢価格・路線価との違い

公示地価・基準地価・実勢価格・路線価の特徴は以下のとおりです。

公示地価基準地価実勢価格路線価
調査元都道府県売買当事者間国税庁/市区町村
調査時期毎年1月1日毎年7月1日その都度毎年1月1日
発表時期毎年3月毎年9月その都度毎年7月
調査場所標準値基準値土地ごと道路に面する土地
調査方法2名以上の不動産鑑定士が調査する1名以上の不動産鑑定士が調査する公示地価や基準評価、外的要因によって決まる公示地価・売買実例価格によって左右される

上記の表を見ると、調査時期や調査方法などが若干違っていることがわかります。公示地価について顧客から質問されたときに対応できるよう、大まかな特徴を押さえておく必要があるといえます。

基準地価とは

基準地価とは、各都道府県が発表する土地の価値の目安額のことです。毎年7月1日に調査され、2ヶ月後の9月に発表されます。公示地価と似ていますが、国ではなく都道府県が土地価格を管理していることが特徴です。

この基準地価は、国土利用計画法に基づいて発表されています。公示地価は、計画的に街づくりを進めるエリアとされる都市計画区域内がメインですが、基準地価は区域外も対象内です。調査時期が地価公示から約半年後のため、地価の変動を即時に反映する役割も担っているといえます。

なお、基準地価は公示地価と同様に、土地取引や固定資産税の相場を知る際に使われます。都市以外の地価や下半期の地価を知りたい場合、基準地価を確認するのが一般的です。

実勢価格とは

実勢価格とは、実際の取引価格のことを指します。たとえ公示地価や基準地価があっても、その価格で土地取引を行うのは難しい場合があります。たとえば同じ標準値であっても、駅やスーパーが近くにある土地とない土地を比べた場合、土地の価値に差が生じるのが通常です。

このような場合、実際の土地取引では実勢価格が採用されます。実勢価格は、周辺の環境や利便性、人気度など外的要因によって価格が変動するのが特徴です。標準値や基準値の場所が同じでも、それぞれの土地によって実勢価格は異なります。

土地取引は、公示地価や基準地価通りに行う必要はなく、売買に関わる当事者の事情なども加味されて進んでいきます。

路線価とは

路線価には、国税庁が発表する相続税路線価と、市区町村が発表する固定資産税路線価の2種類があります。どちらの路線価も、公示地価と同じく毎年1月1日に土地の調査が行われ、7月に発表されます。

公示地価・基準地価と異なるのは、「道路に面する土地の価格が調査される」という点です。路線価の対象となるのは市街地にある主要道路なので、土地によっては路線価がないケースもあります。

また路線価は、相続税や固定資産税などの税務申告がスムーズに行われるように発表されています。一般的には、相続税路線価は公示地価の約8割、固定資産税路線価は公示地価の約7割が目安です。

公示地価を発表する主な理由

公示地価を発表する主な理由は、一般的には以下のようなものが挙げられます。

  • 土地取引の指標を与えるため
  • 不動産鑑定の基準を作るため
  • 公共事業用地の価格算定基準を作るため
  • 土地の相続評価及び固定資産税評価の基準を作るため
  • 国土利用計画法による土地の価格審査(基準地価)の基準を作るため

土地の価値は評価するのが難しく、何も目安がなければ売主や買主の言い値・付け値になってしまいます。この状態では公平な取引を行うことができないため、さまざまなトラブルを回避するために公的な鑑定評価として公示地価が設定されているというわけです。

ただし、公示地価はあくまでも目安であり、外的要因や当事者の事情によって実際の取引価格は前後します。また、基礎的なことではありますが、公示地価は建物を含まない土地のみの価値を表すものだということも頭に入れておきましょう。

公示地価が高い地域をランキング順で紹介

ここからは、全国的に公示地価が高い地域をランキング順に紹介していきます。主に東京都内であり、地域によっては活用できないかもしれませんが、知識のひとつとして押さえておくようにしましょう。

順位標準値番号都道府県所在地公示価格
1位港-4東京都港区赤坂1丁目1424番1(赤坂1-14-11)500万円/㎡
2位千代田-3東京都千代田区六番町6番1外415万円/㎡
3位港-29東京都港区白金台3丁目55番4外(白金台3-16-10)388万円/㎡
4位港-16東京都港区南麻布4丁目12番1(南麻布4-9-34)365万円/㎡
5位港-28東京都港区南麻布1丁目35番1外(南麻布1-5-11)325万円/㎡
6位千代田-1東京都千代田区三番町6番25324万円/㎡
7位千代田-7東京都千代田区一番町16番3308万円/㎡
8位千代田-5東京都千代田区九段北2丁目6番26(九段北2-3-25)301万円/㎡
9位渋谷-11東京都渋谷区恵比寿西2丁目20番1(恵比寿西2-20-7)289万円/㎡
10位港-1東京都港区赤坂6丁目1911番(赤坂6-19-23)281万円/㎡

※参考:国土交通省 「公示価格高順位表」
※()は住居表示

上記のランキングは、令和4年1月1日時点の公示地価です。全国のランキングにもかかわらず、上位10位はすべて東京都の地域がランクインしました。なお、上記は住宅地のランキングですが、商業地・工業地・全用途のすべての項目において、上位10位には東京都の地域のみがランクインしています。

公示地価はどのようなときに活用できる?

国が調査する土地の価値を意味する公示地価は、主に以下2つのシチュエーションで活用できます。

  • 土地の売買を行うとき
  • 相続税や贈与税を調べるとき

不動産営業マンは顧客ニーズに応えるために、上記のようなシーンに直面することも多いでしょう。詳しい内容をそれぞれ解説していきます。

土地の売買を行うとき

先述のとおり、公示地価は実際の取引価格である実勢価格とは違うことがほとんどです。かといって、公示地価が発表されなければ実勢価格の相場を決めることができないため、土地の売買をする際にはまず公示地価の把握から始める必要があるといえます。

相続税や贈与税を調べるとき

公示地価は、土地の取引だけでなく相続税評価額の目安にもなります。相続税評価額とは、相続税や贈与税を計算するときの基準になる金額のことです。そのため、公示地価を知っておくだけで大まかな相続税や贈与税の金額を知ることができるのです。

土地取引の目安になる公示地価について勉強しよう

人差し指をあげる男性の画像

公示地価とは、国土交通省が毎年発表している土地の目安の価格のことです。この公示地価は、主に土地の売買取引の目安、土地の相続評価、固定資産税の相場などを知るために活用されています。

扱っている土地や顧客が所有している土地の価値を知りたい場合は、まずは公示地価の把握から始めるようにしましょう。このとき、基準地価・実勢価格・路線価の3種類の特徴を押さえておくとよりスムーズに進めていけるようになるので、業務の合間に勉強してみてはいかがでしょうか。

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CHINTAI JOURNAL編集部は、営業活動に役立つ情報や業務効率化するための工夫をはじめとして、賃貸仲介業務に「おもしろさ」と「ライフハック」を提供します。

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