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賃貸契約の重要事項説明書で説明すべきポイントを紹介!

記事公開日:2022/06/16

最終更新日:2022/06/15

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賃貸借契約を締結する際に必要な書面として、「賃貸借契約書」と「重要事項説明書」の2つが挙げられます。重複する内容が含まれていますが、それぞれ役割が異なります。トラブルや宅地建物取引業法違反にならないためにも、正しく理解したうえで入居者に説明しなければなりません。

今回は、重要事項説明書で説明すべき事項について、ポイントを絞って解説していきますので、詳しく知りたい方はぜひチェックしてみてください。

そもそも賃貸契約における重要事項説明書とはなに?

入居後のトラブルを防ぐため、賃貸借契約前に入居者に物件の重要事項について理解してもらう必要があります。その際に交付する書面が重要事項説明書です。重要事項説明で大切なのは「賃貸借契約前」に行うことで、「賃貸借契約後」であってはいけません。

宅地建物取引業法第35条1項により、宅地建物取引士が重要事項説明書に記名押印のうえ、説明しなければならないとされています。専任の宅地建物取引士である必要はありませんが、実際に重要事項を説明する人と書面に記名押印する人は同一でなければなりません。

また、重要事項説明をする際に、入居者に対し宅地建物取引士証を提示する必要があります。入居者からの要求がなくても、必ず提示する義務があるため注意が必要です。

重要事項説明書と契約書の違い

重要事項説明書は、不動産会社が入居者に対し、その物件を説明するために交付する書類です。それに対し、賃貸借契約書は大家さんと入居者間で賃貸借契約を締結するための書面として扱われます。

賃貸借契約書も宅地建物取引士が記名・押印をする必要がありますが、あくまでも当事者は大家さんと入居者です。賃貸物件に住んだ後、トラブルにならないようお互いに取り決めをしておくという役割があります。

また、重要事項説明書には記載するものの、以下のように賃貸借契約書では明記しない事項もあります。

  • 不動産会社についての説明(取引態様や供託所等について)
  • 建物の権利に関する事項(抵当権の有無など)
  • 法令上の制限(建ぺい率や用途地域など)
  • 建物の設備の状況(水道やガスなどについて)
  • 建物管理会社についての説明(管理会社の住所や連絡先)
  • 石綿調査の有無や耐震診断の有無

また、売買の場合と賃貸の場合で、重要事項説明書の内容は少々異なります。賃貸の場合は、入居するうえで必要な情報(建物・設備・管理会社など)であるのに対し、売買の場合は財産価値に関係するような事項を説明します。たとえば、どのような道路(公道・私道)に面しているのか、どのような建物がどのくらいの大きさまで建てられるのかなど、細かな点まで記載するのが特徴です。

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賃貸契約の重要事項説明書で丁寧に説明すべき事項

賃貸借契約の際に、重要事項説明書で説明すべきことはたくさんあります。特に丁寧に説明すべき事項は以下のとおりです。

  1. 管理の委託先
  2. 更新に関する事項
  3. 用途や利用の制限
  4. 設備の整備状況
  5. 供給処理施設

上記5つの事項について、詳しく見ていきましょう。

説明ポイント①:管理の委託先

まずは物件の管理をしている管理会社について説明する必要があります。これは、部屋の設備が故障してしまった際に、入居者が困らないようにするためです。

トラブルが発生した場合、入居者は賃貸物件を仲介した不動産会社へ連絡する可能性が高いため、連絡が二度手間にならないよう明確に説明する必要があります。また24時間対応窓口がある場合、その旨も説明しましょう。

説明ポイント②:更新に関する事項

定期借家契約など、契約期間が限定されている場合は特に注意が必要です。入居者が把握していないと更新ができず、引越しせざるを得なくなってしまうからです。

一般的な賃貸借契約であっても通常は2年契約であり、その期間を延長する場合、更新料(家賃1ヶ月分など)や事務手数料がかかります。金銭に関係することはトラブルになりやすい事項なので、丁寧に説明しましょう。

説明ポイント③:用途や利用の制限

入居者が事務所や店舗として部屋を利用し、不特定多数の人が出入りするようになると、場合によってはクレームに発展する可能性があります。また飲食店だった場合、においなどの問題が発生してしまうかもしれません。

よって、事前に「住居限定」や「事務所・店舗可」など、用途や利用について限定、あるいは容認することを明示しなければなりません。これらの事項を確認することにより、今後のトラブルを防止できるため、用途や利用制限について正しく説明しましょう。

またペットの飼育についても、事前に入居者に説明すべき事項のひとつです。ペットは退去の際、修繕に多額の費用がかかる可能性が高く、トラブルに発展しやすいので、ペット不可である場合はあらかじめ説明しておく必要があります。

説明ポイント④:設備の整備状況

一般的に、部屋の中にはガス台やエアコン、温水洗浄便座などの設備が備わっています。しかし、最初は使えていたものの、すぐに故障して使えなくなってしまったというトラブルも少なくありません。設備の有無だけでなく、通常通り使用できるのかの確認も行い、入居者に伝える必要があるといえます。

最近多いのは、ネット回線の有無です。なかには建物の状況により、入居者が希望する回線を利用できない場合もあるため注意が必要です。

説明ポイント⑤:供給処理施設

水道や下水、電気・ガスのライフラインに関する説明も必要です。まず水道が使えない物件はほとんどありませんが、地域によっては公共下水が使えず浄化槽が設置されているケースも少なくありません。

また、都市ガスの引き込みがなく、プロパンガスの地域もあります。特にプロパンガスは都市ガスに比べ利用料金が高い傾向にあるため、これを説明せず入居となった場合、トラブルになる可能性があります。

ライフラインに関しては、それぞれの連絡先をあらかじめ伝えておくと、余計なトラブルを防ぐことができます。たとえば、ガスを使用する際には立会いのうえ、ガス会社に開栓してもらわないと利用できないことを説明しましょう。「ガスが使えない」と連絡が来ないよう、入居者がわかるまで伝えるのがポイントです。

水道や電気は使用開始の連絡をせずとも利用できてしまうことが多く、入居者もそのまま使ってしまうことがあります。たとえば前の入居者が解約していなかった場合、入居者の負担となることがあるので、入居者には使用開始の連絡が必要になることを理由も含めて説明しておきましょう。

重要事項説明は「必ず」行うこと!

入居者が説明は不要と申し出た場合でも、重要事項説明は必ず行わなければなりません。重要事項説明をしなかった場合、宅地建物取引業法違反となりペナルティが課せられるからです。

一般的に、10万円以下の罰金を支払うことになりますが、場合によっては業務停止など重い処分が下ることもあります。不動産仲介業者として自身が重要事項説明を行う場合、このような背景があることをあらかじめ押さえておく必要があるといえます。

多くの人に迷惑をかけてしまうおそれがあるため、重要事項説明を疎かにするようなことは控えましょう。

賃貸借契約上のトラブルを防ぐためにも重要事項説明は欠かせない

クレームの処理やトラブルの対応は、時間がかかるうえに体力・精神力を使います。場合によっては長期化するおそれもあるため、契約時の重要事項説明は形式的に行うのではなく、入居者の悩みや不安を解決できるよう、工夫しなければなりません。

また、忙しいということを理由に重要事項説明を省略するのはNGです。説明を怠ったがために、トラブルの対応に奔走するというケースも見受けられるため、大事な業務のひとつとして臨みましょう。