最終更新日:2025/10/24
記事公開日:2025/07/11
お客様との内見中や車中での突然の虫の出現は、不動産営業スタッフにとって避けたいハプニングの一つです。しかし、こうした不測の事態にこそ、あなたのプロ精神が試されます。
お客様を不安にさせず、むしろ安心感を与えられるようなスマートな対処法を知っておくことで、顧客満足度を高め、成約に繋がることもあるでしょう。

今回は、虫が出てきた際のプロの対処法はもちろん、お客様の不安を取り除くトーク術、未然に防ぐための予防策、そしていざという時に役立つ対策グッズまで、賃貸仲介の営業担当者が知っておくべき虫対策のすべてを網羅していきます。

目次

お客様との内見中や車中で予期せぬ虫と遭遇することは、どんなに気をつけていても起こりえます。しかし、そんな時こそあなたの真価が問われる瞬間です。お客様を不安にさせず、プロとして迅速かつスマートに対応することで、かえって信頼感を高めることができます。
ゴキブリやハエなどの虫の出現は、不動産仲介業では避けられない事象の一つですので、そこは割り切って「業務の一環」として落ち着いて対応することが大切です。感情的にならず、プロフェッショナルとして迅速かつ適切に対処する姿勢を示すことで、お客様に安心感を提供できるでしょう。
また、実は虫が出現した際の「対処」よりも、「事前の確認」のほうがはるかに重要です。お客様に物件を見ていただく前に、営業スタッフが一度物件に入り、状況をチェックする習慣をつけましょう。これにより虫の出現だけでなく、その他の小さな不具合(電球切れや水回りなど)も発見でき、トラブルを未然に防ぐことができます。
事前チェックの際には、「お客様がいらっしゃる前に、一度空気を入れ替えさせていただきますね」と一声かけることで、お客様への配慮を示しつつ、自然な流れで先に入室しましょう。
入室後は目視確認を徹底することが重要です。部屋の隅々、特にキッチンや浴室などの水回り、押し入れや収納スペースなど、虫が隠れやすい場所をざっと確認してください。もし虫がいた場合は、お客様が入室する前に駆除しましょう。また、照明の確認も忘れずに行います。照明を点灯することで、暗がりに潜んでいた虫が動き出すこともあるためです。
この事前チェックを習慣化することで、不測の事態に巻き込まれるリスクを大幅に減らし、お客様に常に最高の状態で物件をご案内できるようになります。
・キッチンや浴室などの水回り、押し入れや収納スペースなど、虫が隠れやすい場所をざっと確認
・虫がいた場合はお客様が入室する前に駆除
内見中に虫が出た際は、その場の対処だけでなく、お客様への適切な声かけが非常に重要です。お客様の不快感を最小限に抑え、物件への印象悪化を防ぐためのコミュニケーションスキルを身につけましょう。
虫を発見したら、焦らず落ち着いた声で「失礼いたしました」「申し訳ございません」と伝え、すぐに対処を始めます。その上で、「ご安心ください。空室では稀に虫が発生することがあります。必要に応じて害虫駆除サービスもご利用いただけます」と具体的にフォローし、お客様の不安を和らげることが効果的です。
ゴキブリは、お客様に与える心理的なインパクトが非常に大きい虫です。内見中にゴキブリが出現した場合、成約に影響を及ぼす可能性も高いため、より丁寧なフォローが求められます。
まず、冷静かつ迅速な駆除が重要です。発見したら、お客様に気づかれないうちに、あるいは気づかれても動揺せず、用意しておいた対策グッズで素早く駆除します。スプレータイプでやっつけたいところですが、空室で噴霧すると床や壁を汚してしまう可能性があるため、極力避けましょう。
可能であればティッシュやタオルを使って静かに捕獲するか、バルコニーなどに追いやってしまうのも一つの手です。いずれの方法でも、お客様の視界から遠ざけるよう配慮することが大切です。
駆除後は、適切な声かけとフォローを行います。お客様に「大変失礼いたしました。すぐに駆除いたしましたのでご安心ください」と伝えましょう。
また、「ゴキブリはキッチン下のシンク収納の排水口の隙間や、バルコニーなど外部からの侵入が多いのですが、ご入居後に気になる点がございましたら、提携している専門業者をご紹介できます。入居前の殺虫消毒サービスもオプションでご用意しておりますので、ご希望であれば詳細をご案内させていただきます」と具体的に説明し、安心感を与えます。
車内でゴキブリが出るケースは稀ですが、もし発生した場合は、お客様を速やかに車外へ誘導し、冷静に駆除します。その後、「大変申し訳ございません。清掃が至らず申し訳ありませんでした。すぐに徹底清掃いたします」と謝罪し、お客様に不快な思いをさせてしまったことを詫びましょう。
可能であれば、その後の内見は別の車に切り替えると、より会社としての組織力やプロとしてのマインドをお客様に示すことができます。
ハエはゴキブリほど嫌悪感は高くないものの、お客様にとっては不快な存在です。
ハエへの対応は、内見時であっても車中であっても、まず外に追い出すことを優先的に考えましょう。窓やドアを開けて自然に外へ誘導するのが最も穏やかな方法です。「少し換気いたしますね」とお客様に一声かけてから窓を開け、風通しを良くしてハエを外に追い出します。この方法が最も手軽で、お客様にも違和感を与えません。
お客様の不快感を最小限に抑えるため、一時的に別室へご案内し、その間に速やかに対応するのも効果的です。
対応後は、適切な声かけを心がけます。「失礼いたしました。排水口の封水切れや窓の開閉で侵入することが多いのですが、対処いたしましたのでご安心ください」などと一言添え、お客様に不快な思いをさせないよう配慮します。場所を問わず、まずは自然に外に出すことを試し、必要に応じて駆除するという段階的なアプローチが良いでしょう。
蚊は刺されるとかゆみが生じるため、お客様にとっては不快なだけでなく、健康上の問題にもなりえるほか、内見の集中力が削がれるため厄介な存在です。携帯している虫対策グッズ(虫よけスプレーなど)を活用するか、速やかに外へ誘導しましょう。
「申し訳ございません。蚊はどうしても窓から侵入してしまうので」と声をかける程度でほとんどのケースは大事に至らないでしょう。なお、壁や内装を汚してしまう可能性があるため、直接叩く、跡が残るスプレーを使用するなどの対応は避けたほうが良いです。
また、特に夏場など蚊が多い時期であれば、虫よけ対策の提案も効果的です。「網戸の設置状況や、必要であれば虫よけ対策もご提案できます」と、お客様の入居後の快適な生活をサポートする姿勢を見せることも大切です。このような配慮により、お客様に安心感を与え、物件への印象を良好に保つことができます。
単発の虫の出現であれば現場での対処で済みますが、もし内見する物件で大量に虫が発生しているような場合は、現場での対処だけでは不十分です。これは物件自体に構造的な問題があるか、あるいは衛生管理が適切に行われていない可能性が高いからです。
このような場合は、今後のトラブルを避けるためにも、速やかに家主さんや管理会社に詳細を報告しましょう。可能であれば、虫の種類や発生場所、発生源が特定できそうな場合はその情報も併せて報告することで、迅速な対応を促すことができます。
また、自社で管理している物件であれば、巡回時に以下のポイントをチェックしておくことで、虫などの侵入を防ぐことができます。
水を定期的に流しましょう。必要に応じて封水切れを防止するために蒸発防止剤を投入したり、ラップ等で一時的に蓋をしたりするのも効果的です。ただし、ラップは入居前に取り除いておかないと、排水詰まりの原因となる可能性があるため注意が必要です。
エアコンの壁穴に室内外両方から専用のキャップがされているかどうかをチェックしましょう。また、パテ(粘土のようなもの)で塞がれているときは割れていないか、隙間がないかもチェックしておくと良いでしょう。エアコンの壁穴からは鳥が侵入してくることもあるため、必ず何かしらの方法で塞いでおいてください。
当然のことですが、窓は必ず閉めておきましょう。窓が開いていると虫の侵入以前に、管理体制そのものが疑われてしまいます。自社管理物件かどうかに関わらず、施錠は賃貸仲介会社として徹底すべきマナーです。内見終了時には施錠確認も行いましょう。こうした基本的な配慮や所作はお客様から見ても好印象です。

営業中に持ち歩くことを考えると、かさばらないコンパクトなサイズであることは必須です。車内の収納スペースや、ご自身のカバンに無理なく収まるものを選びましょう。スプレータイプであれば、ミニサイズや携帯用などと記載があるものを選んでください。
お客様の中には、化学物質過敏症や特定の成分にアレルギーをお持ちの方がいらっしゃる可能性があります。そのため、できる限り自然由来の成分でできた虫対策グッズを選ぶことをおすすめします。例えば、ハーブやアロマオイルを主成分とした虫よけスプレーなどがあります。
お客様の前で使用する際には、「念のため、天然成分のものをご用意しております」と一言添えることで、お客様への配慮が伝わり、より安心感を与えることができます。
ここでは、虫対策に役立つ防虫アイテムをご紹介します。持ち運びやすいため、内見時に携帯できます。
ムシモンは殺虫剤不要の粘着捕獲器です。虫を直接触らず衛生的に処理することが可能で、内見時や管理物件の巡回中にゴキブリに遭遇したときにスマートに対応することができます。リフォームが終わった部屋で殺虫スプレーを利用することは避けたいので、こういったグッズは一つあると便利でしょう。
商品URL:https://shop.car-boy.co.jp/products/ms-01
蚊がいなくなるスプレーは、1プッシュで24時間蚊を駆除することができます。微粒子が壁等に付着して蚊を駆除するため、室内でも利用しやすい点がメリットです。内見前の物件で蚊を事前に駆除でき、お客様に快適な空間を提供できるでしょう。持ち運びやすい点もおススメです。
商品URL:https://www.kincho.co.jp/seihin/insecticide/ka_n_spray/24h/index.html
ウェットモは、コンパクトで大判なウェットティッシュです。内見時や車中で、虫処理後などに手などを拭きたいときには欠かせません。アルコールのあるなしが選べる点や、乾燥対策として蓋がついている点が特におすすめポイントです。
商品URL:https://e-nepia.com/products/wetomo/#top
お客様を乗せる車内や、日々の業務を行うオフィス空間に虫を発生させないための予防策も重要です。日頃からの対策を徹底することで、不測の事態を未然に防ぎ、お客様に快適な空間を提供できます。
清掃と整理整頓が最も基本的な対策です。車内では食べかすや飲みこぼしが虫の餌になるため、週に一度は掃除機で清掃し、ゴミはこまめに捨てる習慣をつけましょう。オフィスではデスク周りや給湯室を清潔に保ち、ゴミ箱の蓋はしっかり閉め、不要な段ボールや書類は処分して整理整頓を心がけます。
食べ物や飲み物の管理も重要です。車内で飲食する際は、飲食後すぐに片付け、特に夏場は飲み残しが虫を引き寄せる原因となるため注意が必要です。オフィスでは、食事は所定の場所で摂り、お菓子などは密閉容器で保管しましょう。
さらに、定期的な換気により湿気をこもらせないことで、虫の発生を防げます。虫除けグッズの活用も効果的ですが、お客様への配慮として香りの強いものは避け、使用する際は適切に行いましょう。
これらの予防策を日頃から徹底することで、虫の発生リスクを大幅に減らし、お客様にいつでも快適な空間を提供することができます。
今回は、虫との遭遇とその対応について解説しました。そもそも、内見中や車中で虫と遭遇することは避けられません。
そこで重要なのは、お客様が物件に到着する前の「事前チェック」です。これにより多くのトラブルを防ぎ、快適な内見を提供できます。
次に、虫が出ても動揺せず、冷静にお客様への配慮を最優先に行動しましょう。迅速な対処と「ご安心ください」といった声かけ、入居後のサポート提案までスマートに行うことが、お客様からの信頼獲得に繋がります。
この記事で紹介した虫対策グッズの常備や、車内・オフィスの清掃徹底も不可欠です。これらのプロの知識と行動を身につけ、虫の出現にもスマートに対応できる営業担当者を目指しましょう。