最終更新日:2025/10/21
記事公開日:2025/01/30
どんな一等地にある店舗であっても、ショーケースに商品が並んでいなければ売上があがることはありません。それは、賃貸仲介業でも同じことがいえます。
賃貸仲介業における「商品」とは、賃貸物件のことにほかなりません。しかし、ただ市場に流れてくる情報だけでショーケースの商品が充実するわけではないため、賃貸仲介業で売上を確保するためには、より「多く」「希少な」賃貸物件を紹介できる体制を整えることが重要です。
そこで、今回は賃貸仲介業において重要な業務の一つとして「物調(物件調達)」について解説します。
・そもそも物調とはなにか?
・どうやって新しい物件を仕入れたらよいかわからない
・物調のコツを知りたい
このような疑問を持つ賃貸仲介業者にとって役立つ内容になっています。ぜひ最後までお読みください。

目次
「物調」とは、「物件」を「調達」する作業を指す略称です。
なお、物調には具体的に2つの意味があります。
1つ目は、既に存在を知っている賃貸物件の空き情報や成約情報をアップデートすること。
もう1つは、自社がまだ知らない賃貸物件を仕入れることです。
物調を行わないと、新しい物件を仕入れる作業が停滞するため商品が補充されません。そのため、競合他社と比較して商品力に差がついてしまい、ひいてはお客様離れを起こしてしまう可能性があります。
「物調」にはもう一つの意味があります。
見たことがない物件の確認や、不動産取引において重要事項説明のためや、告知書を作成するために、「物件」を「調査」する作業のことを「物調」と呼ぶことがあるのです。
本項では、調査ではなく「調達としての物調について」解説を進めます。

賃貸仲介では、さまざまなルートや方法を通じて賃貸物件の仕入れを行います。しかし、世の中には多数の不動産が存在しているため、無方策に仕入れを行うことは得策ではありません。
ここでは、物調をするうえで覚えておきたい方法・手段について解説します。
電物とは、「電話」で「物件調達」を行う作業のことです。電物をする目的は、既に賃貸物件として取り扱っている物件情報を最新のものにアップデートをすることです。
具体的には、自社が把握している空室やその募集条件に変わりはないか、また新しい空室が出ていないか、などを電話で家主さんや管理会社に問い合わせをして、情報を更新します。
古い情報が掲載されたままでは、既に成約済みの物件に対して問い合わせが来てしまい、お客様に不信感を与えてしまう可能性があります。そのため、物件情報を常に最新の状態に保ち、お客様に正確な情報を提供することが重要です。
近年は、家主さんや管理会社とのやりとりもインターネットが主流となっています。電物したところ「システムで確認してください」という回答を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
このように、家主さんや管理会社がどのように物件管理をしているかも、物調において重要な意味を持ちます。物件情報をシステムで管理していることを知っていれば、管理会社が不在でも空室確認や内見の申し込みなどが可能となり、お客様への対応をスムーズに行うことができるからです。
競合他社との差別化を図るためにも、これらの基礎情報をしっかりと把握し、最新の状態で管理しておくことが不可欠です。
管理会社を介さない個人家主さんへは、電物のほか直接訪問を行うことも必要です。個人家主さんの賃貸物件情報は、物件規模や築年数の観点から優先順位を下げて対応している会社が多い印象がありますが、表現を替えれば他社と差を付けやすいポイントともいえます。
さらに、個人家主さんへのアタックには以下のようなメリットも存在しています。
・他社より有利な賃貸条件や交渉事項を獲得できる
・将来、自社での専任募集や管理物件候補になりえる
・リフォームや清掃など、単発での売上確保ができる
・売却や購入などの相談をもらえる
これらのメリットを考えると、優先順位を上げて個人家主さんへの対応を行う重要性がお分かりいただけるのではないでしょうか。
また、親密な関係が築けていない個人家主さんや初めて訪問する場合には、丁寧な対応を心がけましょう。電話でのアポイントは必須ですが、場合によっては手紙を送付し返答を待つなど、長期的な関係構築を視野に入れた対応も必要です。
個人家主さんは、不動産を所有しているため、多くの不動産会社や金融機関からアプローチを受けているケースが一般的です。そのため、警戒心が強く、信頼関係を築くまでに時間がかかることを想定しておきましょう。
物調では、競合他社の掲載情報もチェックしておく必要があります。なぜなら、自社が知らない情報を他社が掲載している時点で、他社に後れを取っているからです。
競合他社のホームページやポータルサイトなどを定期的に閲覧するなどして、自社が保有していない賃貸物件があれば、自社で募集できるように準備をするように努めましょう。
賃貸仲介業の目玉商品といえば、やっぱり新築物件ではないでしょうか。新築物件は募集戸数も多くなることから広く募集されることが一般的ですので、絶対に落としてはいけない情報の一つです。
積極的に新築物件を広告してくれればよいのですが、家主さんや管理会社が遠方だったり不慣れだったりする際は、プロモーションが不十分であるため情報が届かないことがあります。そのため、街で建物の建築工事を見かけたら必ず建築主や建築用途を確認する癖をつけておくことが重要です。
もしも建築中の建物が賃貸物件でなかったとしても、営業トークに役立てることができます。「今度、あの交差点に新しくレストランができます」「●●会社が本社ビルを移転する」…こういった情報は、街全体を商圏とする不動産会社として押さえておきたいポイントです。街のことを熟知しているとアピールすることにも繋がり、接客の濃度や確度という点において一頭地を抜くことができるでしょう。
分譲マンションや戸建ては賃貸物件ではありませんが、将来賃貸物件になる可能性があることは忘れてしまいがちです。そのため、分譲マンションや戸建てにお住まいの人に対しての営業活動も欠かさずに行いましょう。
「貸したいときは●●不動産までご相談ください」「賃貸管理のご相談は●●不動産へ」…このような文言でチラシを投函したり、インターネットに広告を掲載したりしておくことで、未来の賃貸物件の種になります。自社のみで募集できるようになれば、他社より優位に立つことは間違いありません。
なお、チラシの投函は物件や所有者によってはクレームになることがあります。
・分譲マンションでは事前に管理人へ確認をしたうえで投函する
・投函によりクレームが発生した住戸へは再投函しない
など、細心の注意が求められる点も覚えておきましょう。
既に市場に流通している物件に限らず、賃貸仲介業者の立場として家主さんに提案を行い、どんどん良い物件を作り出していく心構えも重要です。家主さんの希望に沿ってのみ募集活動をしていると、相場から乖離した賃貸条件を設定されたり、ニーズと異なるリフォームやリノベーションが施されたりすることにより、結果的に成約しないことがあるからです。
家主さんへ提案したい事項は以下のようなものです。
・募集条件(家賃・敷金や礼金などの初期費用・退去費用・短期解約に伴う違約金など)
・リフォーム必要箇所
・リノベーションプラン
家主さんへの提案では、自社に有利な条件を提示するだけでは、家主さんの信頼を勝ち取ることはできません。家主さんの希望条件や賃貸経営の方向性を踏まえて、市場の動向やニーズに合致する内容を提案することが求められます。
客観的に説明できる資料や事例を交えて提案することを心がけましょう。

物調はやみくもに行ったり、思い付きで行ったりしても効果は上がりません。日常業務のなかにルーティンとして取り込むことで、入退室情報の更新や新規物件の仕入れが確実に行えるようになります。
ここでは、物調を効率的に実施するための具体的な方法を解説します。
まず実践したいこととして、日常業務に物調を組み込んでしまうことです。物調を日々のルーティンとすることで、漏れや放置がなくなるからです。
ルーティンとして物調に取り組むためには、以下のような方法が効果的です。
・毎朝決まった時間に指定流通機構やポータルサイトの新着物件をチェックする
・管理会社指定のシステム上で新着物件をチェックする
・定期的に空室一覧の棚卸を行う
・新築や建築情報を朝礼や会議で報告しあう
・特定の日にプロモーションの業務を必ず実施する
例)SNSの更新・ホームページへの記事アップ・チラシ投函など
これらを自社や自分の業務と照らし合わせて、自分に合ったスタイルで継続的に取り組むのがよいでしょう。
物調にはさまざまな方法が存在するため、どの方法が得意で、どの方法が苦手なのかを明確にしておくことも必要です。なぜなら、社内で役割分担を決めるなどすれば、自分が苦手な方法を他の誰かがフォローすることができ、ひいては店舗全体での物調確度がアップするからです。
もちろん、好き嫌いで業務を選ぶことはあってはなりません。また、物調の方法によっては業務量に差がついてしまうことも避けるべきです。
得意や苦手だけを軸として苦手なことをしなくてよいとするのではなく、全体のバランスを見てもっとも効果が上がるような業務配分を心がけましょう。
物調は自分から情報を取りに行くイメージがありますが、自動的に情報を入手できる仕組みをつくることも可能です。
家主さん・管理会社・建築会社の人たちと仲良くなれば、入退去・建築・トレンドなどのさまざまな情報を自動的に得ることができるようになります。ではどうすれば仲良くなることができるのか、が問題です。
関係者の人たちと仲良くなる方法は、逆の立場になって考えれば簡単に答えが出ます。
・約束や期日を守ること
・提出書類や決済金に間違いや漏れがないこと
・事前交渉をしたときは、結果も報告すること
・家賃相場や市場の相談などには、真剣に答えること
情報を発信するのは人です。その人を大切にすることで、情報が集まってきます。その情報は他社が到底手に入れることのできない情報であることも多いでしょう。もちろん、すべての情報を集めることなど不可能ですが、人から得られる情報は希少性も高く、物調の糧になることは間違いありません。情報が集まる仕組みについて考えてみてはいかがでしょうか。
物調と一口に言っても、さまざまな経路から情報を取得することが可能です。さらに、一つの情報であっても複数の経路で情報を取得するケースもあるでしょう。そのときは、どの経路で情報を入手するかに気を付けてみてください。
例えば、ある管理会社が自社ホームページとシステムの両方を利用して情報を公開しているとします。そのとき、どちらの情報が早くて正しいかを見極めるのです。
賃貸仲介会社の現場にもさまざまなシステムが導入されています。特定のコンバーターに物件情報を登録すれば、複数のポータルサイトに物件掲載ができる…このようなシステムは多くの賃貸仲介会社が利用しているはずです。
そのとき、コンバーターに登録した瞬間にポータルサイトへの掲載がなされるわけではありません。ポータルサイトとの連動は時間が決まっているため、情報が遅れることがほとんどです。管理会社が利用するシステムも同様で、連動のタイミングによっては特定のサイトへは情報が遅れて公開されることもあるのです。
こういったシステムの時差や特性を理解しておくことで、いち早く正しい情報を取得することが可能です。特に繁忙期などは一瞬の遅れが申し込みのロスに繋がります。IT化やDX化が進んでいる今だからこそ、システムの特性に着目して業務を進めることも必要です。
今回は、賃貸仲介会社の商品力に差をつける「物調」について解説しました。
新しい物件の仕入れや賃貸物件情報の更新は、「なんだかめんどくさい」と考える人も少なくありません。しかし、結果的にこういった基礎体力の求められる業務を確実にこなしている会社が数字を残していることも事実です。
また、物調のやり方に絶対的な正解はありません。都心であればほとんどの賃貸物件が管理会社を介していますが、地方であれば家主さんとの直接取引が多いこともあるからです。そのため、自社に適した物調の方法を考え、ルーティン業務として落とし込むことで、物調業務を体制化させることができます。
普段から物調をしていないと、物件知識も身に付きません。IT化やDX化がいくら進んでもお客様は営業担当者の知識と経験を頼りにしているため、やはり物調は基礎体力として位置付けておくべきでしょう。ぜひこの機会に物調を見直し、より精度の高い商品力を身に付けましょう。
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