記事公開日:2024/12/19
最終更新日:2024/12/20
毎日続く残業、大量の事務作業、急な来客対応ー。繁忙期は成果を上げる大きなチャンスであるものの、「時間に追われて思うような結果を出せない」というジレンマを抱えている方も多いのではないでしょうか。
実は繁忙期の成果を大きく左右するポイントは、閑散期からの「事前準備」にあります。この記事では、繁忙期に向けた準備のポイントから具体的な業務改善方法まで、不動産営業の現場ですぐに実践できる対策をご紹介します。今年の繁忙期を成功に導くためのヒントが、きっと見つかるはずです。
目次
年間の売上を伸ばすためには、繁忙期と閑散期の波に合わせた準備と対策が欠かせません。各時期の特徴や顧客ニーズについて、詳しく見ていきましょう。
年度末は就職や進学、転勤などによる引っ越しが集中します。そのため、2月後半から3月にかけては、来店客数が通常の2~3倍に増加することも珍しくありません。
この時期の特徴としては、新生活を始める若年層の需要が多く、単身者向け物件の需要が高まる傾向にあります。物件案内をスムーズに行うため、大学や専門学校周辺の物件情報や通学時間、家賃相場などを改めて整理しておくことが重要です。さらに、効率的な内見ルートを設定し、1日でより多くの内見に対応できる体制を整えましょう。
また、この時期は引っ越し業者も繁忙期となるため、複数の業者と良好な関係を築き、お客様の希望に柔軟に対応できる体制を整えておくことが大切です。
秋の引っ越しシーズンである9〜10月も、業務量が増加する時期です。夏の閑散期を経て一気に来店数が増えるため、スタッフ一人ひとりの対応力が試されます。
1~3月ほどの混雑はないものの、異動を控えたファミリー層の住み替えニーズも高まります。地域の教育学区や主要路線の通勤・通学ラッシュ時の混雑など、生活に密着した情報を提供できるように準備しておきましょう。
例えば「家を出る→最寄り駅まで歩く→電車に乗る→勤務先の最寄り駅に着く」という一連の行動をイメージしやすいような説明を行うことで、説得力が増します。
6~8月は1年で最も来店数が少ない時期です。夏休みやお盆休暇と重なることもあり、引っ越しを検討する方が減少します。11~12月も年末年始を控え、比較的落ち着いた時期となります。この閑散期を、次の繁忙期に向けた準備期間として活用しましょう。
まずは前回の繁忙期を振り返り、業務上のミスや改善点を具体的に洗い出していきます。さらに、物件案内の時間配分や内見ルートの組み方など、日々の営業活動で感じた問題点を整理し、より効率的な対応ができるよう準備を整えておくことが大切です。
このように、繁忙期と閑散期のサイクルを意識した営業戦略を立てることで、年間を通じて安定した成果を上げることができます。
繁忙期は大きなビジネスチャンスである一方で、業務量の急増や連日の残業により、普段通りのパフォーマンスを発揮できない場面も出てきます。
ここからは、繁忙期を乗り切るために意識すべきポイントとして、以下の3つの課題について説明します。
具体的な対策方法も併せて見ていきましょう!
繁忙期は来店数が増えるため、1組あたりの接客時間が短くなりがちです。特に土日は予約が集中し、時間に追われる中での接客となります。物件説明が雑になったり、お客様の要望を十分に汲み取れなかったりといったことがないよう、常に丁寧な接客を心がけましょう。
また忙しさを理由に、基本的なマナーをおろそかにしないことも重要です。特に「挨拶」や「身だしなみ」は、お客様との信頼関係を築く上で最も重要な要素です。忙しい時期だからこそ、基本に立ち返った丁寧な接客サービスを意識しましょう。
契約数が増えると、書類作成や確認作業などの事務処理も急増します。特に3月は退去と入居の手続きが重なるため、書類の紛失や記入ミス、契約期限切れといったトラブルを招くリスクが高まります。
このような混乱を防ぐためには、計画的かつ体系的なタスク管理が必要です。例えば、以下の管理方法が有効です。
デジタルカレンダーは、手続きごとに色分けするなど視認性を意識しましょう。さらに、重要な期限の5日前や1日前に重ねてリマインダー設定することで、期限切れを防げます。
チェックリストは、案件ごとに必要な書類や手続きを時系列で整理し、進捗状況を「未着手」「進行中」「完了」などのステータスで管理します。スタッフ間でリアルタイムに情報を確認できるよう、共有設定も忘れずに行いましょう。
朝礼での情報共有は、ホワイトボードを活用してその日の重要タスクを明記し、スタッフ全員で進捗状況を確認します。また、SlackやChatworkなどのチャットツールに朝礼の内容を記録することで、再確認や不在者への共有がしやすくなります。
繁忙期は残業が増えるなど長時間労働になりやすいため、体調を崩すリスクが上がります。特に1~2月はインフルエンザの流行がピークを迎えるため、閑散期の内に予防接種を受けておきましょう。
一人でも欠員が出ると、他のスタッフの負担が一気に増加してしまいます。体調不良はミスが増える要因にもなり得るため、組織的な課題として捉え、清潔かつ快適な環境づくりに努めましょう。換気ルールを設けたり、加湿機能付き空気清浄機を設置したりといった対策が効果的です。
繁忙期の売上を伸ばすためには、業務効率化だけでなく、収益性を高める具体的な準備が必要です。本セクションでは、売上アップに焦点を絞った5つの戦略をご紹介します。
住まいのニーズが多様化する近年、「より多くの選択肢を提供できること」が成約率アップにつながります。閑散期の内に、多くの物件情報を収集しておきましょう。
物件情報の収集には、以下のアプローチが効果的です。
独自物件の確保には、地域のオーナーとの直接的な関係づくりが欠かせません。日頃からの丁寧なコミュニケーションを通じて、他社には出回らない物件情報を入手できる関係を築いておきましょう。
管理物件については契約更新時期を把握し、早めの対応を心がけることで、空室リスクを最小限に抑えることができます。
物件情報の掲載内容は、お客様の問い合わせや来店を左右する重要な要素です。繁忙期前に掲載情報を総点検し、より魅力的な内容に更新しましょう。
以下の3つのポイントを意識することで、反響率アップが期待できます。
写真は部屋の明るさや広さが伝わる角度で撮影し、リビングだけでなく、収納スペースや設備なども丁寧に撮影しましょう。
また、物件の特徴は「日当たり良好」といった抽象的な表現ではなく、「南向きで午前中は太陽光が差し込む」といったように、具体的な説明を心がけましょう。
周辺環境情報は、スーパーやコンビニ、薬局や公園への徒歩時間を記載することで、お客様が実際の生活をイメージしやすくなります。
インターネット検索から来店につながるケースが増えている中、自社サイトは重要な集客ツールです。利用客にとって「見やすい、使いやすいサイト」を目指し、以下の工夫を講じましょう。
物件検索機能はエリアや家賃などの基本条件に加え、キッチンの広さや収納の有無など、細かな条件設定ができるよう最適化することで、ユーザーの希望に合った物件を効率的に表示できます。
問い合わせフォームへの導線は、各ページから分かりやすい位置に設置し、入力項目を必要最小限に抑えることで、問い合わせのハードルを下げましょう。
また、現在はスマートフォンからの閲覧が主流となっているため、「モバイルフレンドリー」を徹底し、快適な閲覧環境を整えることも重要です。
デジタル化が進む中、効率的な業務処理システムの導入検討も欠かせません。導入には時間がかかるため、繁忙期前から計画的に準備を進めることが重要です。
業務効率化を進めるためには、以下のようなシステムの導入が効果的です。
オンライン内見予約システムや電子契約システムを導入することで、お客様の来店回数を減らしつつ書類のやり取りや印鑑の押印が不要となるため、契約までの時間が大幅に短縮できます。
クレジットカード決済は手数料が発生しますが、入金確認や現金管理の手間が大幅に削減できるため、業務効率化につながります。カード払いが出来ないことによる機会損失を防ぎ、顧客満足度を向上させるためにも導入を検討しましょう。
システム導入の際は運用テスト期間も考慮し、余裕を持ったスケジュールで準備を進めることが重要です。
オーナーへのリフォーム提案は、タイミングや提案方法が成否を分けます。繁忙期前から準備を整え、説得力のある提案ができるよう備えておきましょう。
説得力のあるリフォーム提案を行うには、以下の3つの準備が重要です。
補助金制度や税制優遇の知識は、オーナーの決断を後押しする重要な要素です。また、過去の成功事例を写真やデータで示すことで説得力が増します。
賃料上昇や空室率改善の具体的な数字を示しながら、オーナーの不安を解消する丁寧な提案を心がけましょう。
なお、リフォーム工事は設計から施工開始まで通常1~2ヶ月程かかり、相応の費用も発生します。余裕を持ったスケジュール設定で、オーナーとの協議の時間を十分確保した上で行いましょう。
新生活のスタートが重なる1〜3月、秋の異動シーズンとなる9〜10月。この繁忙期は、不動産業界にとって最大のビジネスチャンスです。来店数が急増するこの時期を乗り切り、大きな成果につなげるためには、閑散期からの入念な準備が欠かせません。
物件情報の整理や業務フローの見直し、サイト改善など、一つひとつは地道な作業に思えるかもしれませんが、この積み重ねが繁忙期での成果アップを実現する土台になります。
今回の記事を参考に、閑散期を戦略的な準備期間として活用していきましょう!
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